第138話「しあわせのかたち。それだけでいー、Berryzと俺とのかたち」の巻

 


 そしてそのポーヅのフィニッシュの状態から一呼吸を置いて、やおら両腕と首をガクンと下に落とし、「計画停電!」。
 これは「第×グループは本日、19時から計画停電の予定です」とアナウンスされていた日、然るべき時刻を迎えても電気が生きていた為「よかった〜^^;」と胸を撫で回していた19:02にバツン!と停電を喰らった瞬間の衝撃と絶望を表現したギャグでってゆーか貼るべきモノを間違えている、俺は。


 


 かようにメメクラゲ、違う、フラゲせしめてから約10日を経た、Berryz工房の最新アルバム「⑦Berryzタイムス」を本日の愚記事でピックアップさせて頂きます。ふしだらなレヴューになるかとは存じますが、皆様お付き合いの程よろしくお願い申し上げます。
 まづは目に入って来る所から申し上げますと、とても気の利いたデザインに仕上げてくれていました。本アルバムのシンボルである⑦マークが否応なしに、


   意味も無く小春が登場。


 これを連想させるのは「7」をモチーフにする上で仕方ありませんし、そこをあげつらうつもりは毛頭ありません(てかこのウチワ5年ぶりに引っ張り出したな)。そんな事よりBerryzタイムス、略してベリタイを冠するだけあって歌詞カーヅを雑誌ぢたてにする遊び心を見せてくれた他、その編集部員たる7人を決して華美に飾り立てること無く、飽くまでストイックな“働く女”また“デキる女”に見立てたのには感心しきりです。Berryzに限らずハロプロは今まで、作品の内容とデザイン・ワークの乖離がはなはだしかったとぼくは思いますが(A級戦犯モーニング娘。の『Mr.Moonlight〜愛のビッグバンド〜』)、今作をもって大きな前進を見せてくれました^^
 それでは、楽曲についてお話をさせて頂きます。


 1.ガールズタイムス
 ジョージ・ベイカー先生の「Little Green Bag」を思わせる、あるいは整髪料のCMでイケメン4、5人が「シュシュシュシュ〜ン」云いそうな雰囲気のイントロでアルバムの火蓋を切って落とすこのお唄こそ、本作のタイトル・チューンとも云える作品です。
 たゞね、これが「タイムス」である必然性があるかと云うと、無いと思います。ガールズタイムス云いたかっただけだろつんくこの野郎と。「日々の話題は尽きません」とのフレーヅがありますが、だったら「ガールズ日報」の方がまだシックリ来ると思います(アイドルの曲名としては全然シックリ来ないと思います。んでアルバム名も変わるの。Berryz日報、略してベリにち)。


 2.ヒロインになろうか!
 こちらについては1/11の第118話2/26の第131話、そして3/9の第134話で、うっすいなりに大絶賛しておりますので、おヒマなムキにでも目を通して下さったら幸いです。
 ぼくが万引きした限定盤の付録のデーヴイデーには各人のダンス・ショッツ、シングル初回盤Aの付録だったダンス・ショッツのアナザーVer.及びこの冬のハロコンで初披露(?)した際のライヴ映像と、全9Ver.の「ヒロイン」が収められている上にチャプター10・ヂャケ写の撮影風景にはバック・トラックが流れ、がっちり小一時間ヒロイン責め!(><) 先の第134話に「徒歩通勤中にmp3プレイヤーで5回リピーツし倒した」と記したぼくでも、さすがにおなか一杯です^^;
 うっすくながらも語り尽くした感のある「ヒロイン」ですが、新たな発見は冬ハロ時点ではオーラスの転調が無かった、そして転調を加えたからこそ傑作へ昇華したと知り得た事。さらに、拾いモノは下のgifでの、


 


 すーちゃんの目を閉じなさっぷりです。


 3.マジカルフューチャー!
 イントロや、サビ前のシンプルな符割りのリフは古きよきエレクチオン、違う、エレクトロ然としていて好きなんですが、ドラムの打ち込み方やBメロのコーラスが人間くさくて若干ミスマッチかと。アルバムの中の1曲なんだからもっと吹っ切って遊んで、ゴリゴリでソリッヅなテクノに特化しても面白かったと思います。


 4.唐揚げ弁当の詩(うた)
 うんち。
 愚ブログの過去の記事を確認する気も失せる程、これに関しては何度コキ下ろした事か分かりません。昨年お邪魔したライヴ、またそのデーヴイデー「ベリ高フェス!」を別にして正規音源を耳にするのは初めてですが、やはり印象は変わりませんでした。「憧れのきみの声、グラウンドに響いてる」に差し挟まれるバギューン!はナニ事だねキミィ! グラウンドに銃声が響いてるよ。小型ランチャーなみの。憧れのきみはシャープシューターかね。
 歌詞を目で捉えたのもやはり初めてでしたが、「仲間の弁当ぐるり見渡したけど、きみのが一番だったよ」ってモノすごく下品な行為だと思います。食事中に周りのお弁当をヂロヂロ見て回って、比べっこして、「きみのが一番!」…嫌われるぞ。てか嫌われておしまい。シャープシューター敵に回したら恐いぞ。
 ぼくにとって唯一の救いだったのは、このうんち曲をアルバムの中でも早い内に処理してくれた事です。終盤に配置されていたらたまったモノぢゃないからねっ★ こげーなうんち味の唐揚げ。


 5.女子会 The Night
 他愛も無い女子会の模様を何処の国のモノともつかない民謡調(タンゴ?)のメロデーに乗せている時点でアレですが、それを打ち込みで処理する意味が分かりません。メロデーに応じたアレンヂの必要性を考えさせられます。さらに訳が分からないのが「ボーッとしてゝもセクシー」…出た! つんく語!笑


 6.BOMB BOMB JUMP
 徳永千奈美ちゃん・須藤茉麻ちゃん・熊井友理奈ちゃんと、言葉は悪いですが音程に難のあるメンバーをメインに登用し、歌唱力が安定している他メンバーをコーラス隊に配したこちらのお唄。この半年センターを務めているくまいちょーいづれにせよ、後列に固定されてしまっている千奈美ちゃんとすーちゃんが、アルバム曲とは云え脚光を浴びるのは喜ばしい事です。が(・∀・)
 そうなって来ると同じく永世的後列メンでありながら、なまぢ歌えるばかりに割を喰わされてしまった清水佐紀ちゃんが不憫でなりません。今作の他の楽曲でもコーラスに回される等いー様にコキ使われていますが、佐紀ちゃんイカせなさいよ!活かしなさいよ! ヴォーカリストとして硬軟自在な佐紀ちゃんだけど、「マジカル〜」や「HAPPY! Stand Up」等で聴かせてくれる彼女の男前な面を大々的にフィーチャーしたお唄がほしいなぁ(´・ω・`)
 ドゥーアップとしてはコーラスが悪目立ちしている≦させているのが気になります。


 7.本気ボンバー!!
 こちらに関しては昨年7/20の第5話で取り上げましたが、感想ってゆーか単なる妄言だなこりゃ。あと愚ブログ的に、本気ボンバーをおちんちんの比喩に使う事が多くてごめんなさい。


 8.女のプライド
 「今回程度の失恋は、トークのネタになる」と、ネタ探しに奔走するベリタイ編集部員の姿が描写されています。
 ハロプロのR&Bと云えば決まって「いえー」もしくは「かもん」等と知らないおぢさんがシャシャッて来て   愛すべきBerryzを扱う記事の中で最低な例えをしますよ俺   レヅのAVでオモチャ片手に乱入して来る男優の様にぼく達リスナーをゲンナリさせてくれたモノですが(A級戦犯メロン記念日の『香水』)、このお唄はそんな野暮の無い、とても耳あたりの優しい1曲です。
 …えー、悪ふざけで編集部員だレヅだ等と書いてみた所「わたしはまだまだこゝでヤル事あるから」、「わたしの大きな夢を実現するから」とのフレーヅはまさに働く女のプライヅに、そして歌詞的にはこれに1行を費やす「男に未練など無いのよ」がある種の宣言に聞こえてしまう不思議。げに恐ろしきは自己暗示。あゝ哀しみのアンヂー。


 9.真っ白いあの雲
 感傷的なピアノ&鉄琴もわづか2小節、♪ペニョ〜ンと云う腰くだけなシンセベースが台なしにしてくれるこのスロー・バラーヅ。音色(おんしょく)のチョイスこそ難がありますが、青春と呼ばれる時代の「意外とどーってこと無い」一面を見事に切り取った佳曲に仕上がっています。皆様ご存知の通り、リアリテーにあふれた言葉でリアリテーの欠片も無い物語を構築するのがつんくピーの芸風ですが、こちらの歌詞は一味ちがいます。
 悩みが無さそうに、また元気だけが取り柄の様に見られがちな現状を「まあ別にいーけど」と切って捨て、空を見上げてはまだ見ぬ運命のひとにボンヤリと思いを馳せ、「知らない町を旅してみたい」と現実逃避に耽るばかり。対象を知らない恋、具体的ではない夢に「悩んじゃうなぁ」と漏らしながらも「だけど、元気で行こう」とだけは思っている…
 素晴らしい! これぞ駄目な青春!
 飽くまでぼく個人の嗜好ですが、一部の例外を除いて、明確な答えが出る歌詞って好きになれないんです。そこへ持って来てこのお唄の主人公が葛藤の末に出した結論は、「だけど、元気で行こう」。極めてザックリとした結論ですが、それでいーんですよ。素敵なひととの遠くない未来の出会いも、真っ白い心を自分なりの色に染めて行くのも、全ては「明日も、元気で」居られてこその賜物ですからね。
 2011年現在アイドル・グループとしてはトウが立ちつゝあるBerryzが、今後は発信デキないかも知れない(良くも悪くも)青春の形がこの1曲に凝縮されていて、アルバムの終盤を飾るにふさわしい1曲となっています。ベース以外。


 10.一丁目ロック!
 青色7の「青いスポーツカーの男」(00・3/8)を評するに際して宇多丸さんは、「パンクを通過して来なかったつんくピーは、この手の唄を作ると馬脚を現す」とおっしゃったかと記憶しておりますが、アレから10年超、この「一丁目」でもいまだに馬脚を現しっ放しです^^
 「オイ・パンク」の「オイ! オイ!」は製作陣が事前に用意しておくモノではなく、ライヴで観客が声を張り上げて初めて完成するモノではないでしょうか? ドラムにダコダコ云わせてりゃぁそれがパンクかと云ったら、ぼくは違うと思います。Berryzには他に「友情 純情 oh クッキー・フェイス」と云う似非パンクもありましたが、つんくピーには「2曲でいーからパンクを聴け」、そして「本城聡章ちゃんに謝れ」とゆいたいです
 ギター・ソロ前は最低8小節、長くて16小節は「オイ! オイ!」タイムを設けてライヴに備えなさいよ!とは思いますが、それでもこのお唄をアルバムの最後に持って来たのは大正解だとも思いました。楽曲それ自体へは不満もありますが、最後の最後でBerryzのみんなが拍手やら嬌声やらで盛り上がっているサマを耳にするとね、それだけでいーぢゃないか!って思えたんです。
 俺は幸せなんだ。俺自身はいーおっさん(33)だけど、まぎれも無くBerryzと時間を共有デキているんだ! だから、たゞそれだけでいーぢゃないか、もう…って思ったんです。


 かくして表記されている楽曲は全て終了しましたが、無音状態が1分ほど続いた後に何とシークレット・トラックが収録されているではありませんか! 全10曲・約40分と云うのはフル・アルバムとしてはいさゝか寂しいモノですからね、さすがつんくピー分かっていらっしゃる♪
 その2曲はカヴァーだった訳ですが、チョイスがまた渋い! THE MOMOTAROHの七尺一寸の様に「おいちゃんしヴい!」とつんくピーの肩をシバきたい!


 11.Clouds Across the Moon
 タイムスつながりと云う事で、元モダンタイムスオーケストラの砂原良徳さんのこのお唄を持って来るとは! ライヴ時のお召しモノはやっぱり、MTOよろしくヘソ出しのセーラー服☆カナ


 12.暗い日曜日
 そしてあろう事かBerryzが、アノ人間椅子をカヴァー! 何と云う悪魔合体! 歌詞の中で主人公が目にした「三日遅れの雑誌」こそがベリタイだったのでしょうか? 30歳と云う、人生の節目を今年お迎えになる和嶋慎治さんが抱える、実年齢と焦燥とのヂレンマを発露させたこのお唄こそ、このアルバムの下敷きだったんだ!
 今作の先行シングル「ヒロイン」の「目立ちたいけど、ギラギラする街にドキドキしながらさまよう」主人公も、他のアルバム曲でも「恋に一杯あこがれちゃう」(ガールヅ)も、「忘れやしないよ、負ける悔しさを。優しくなれた」(マジカル)も、「青春とは束の間」(女子会)も、「恋すりゃ何故か、手をヌイて生きる事デキなくなっちゃう」(プライヅ)も、全ては椅子の「暗い〜」を礎にしていたのね!と最後の最後で納得させてくれる、至高のサーヴィス精神に富んだこのアルバムは、同じ椅子の「怪人二十面相」、筋肉少女帯の「レティクル座妄想」と並べて日本三大コンセプツ・アルバムと称しても過言ではないモノと仕上がっていました。当代きっての名プロデューサー、つんくこゝに在り!と云った所でしょうか。てかボーナス・トラックとか嘘っぱちですからね、まりんや椅子ファンの皆様チェックする必要ありませんからね。
 そして以下はBerryzとは縁もゆかりも無い、超どーでもいー個人的なお話なので隠します。Berryzファンの皆様とはこの辺で、ちゃお。30親父の独り言を見てヤロうぢゃないのと云う皆様、またお会いしましょう(^-^)ノシ サーヴィスしちゃうっ★


 


 ムフフ。
 学生時代など時間を持て余し倒していた頃は、新しく入手したシーデーを初めて再生する時には決まって消灯し、暗闇の中でインナー・スペースに没入して音楽に聴き入るのがぼくの慣例でした。どんなザマにも社会人となって独り暮らしを営む身の上、1日の中だけでもヤッつけるべきアレやこれに追われ、上記の様な音楽との接し方を、少なくともアルバムとはデキなくなっています。だからBerryzタイムスも「ながら聴き」にはなっちゃったけど、Berryzが新しい作品を生み出して、それに出会えるだけでも幸せなんだなぁって思って。
 そしてこなすべき事がある日常って、この上も無く幸せなんだなぁって。