第128話「真心です、ハイ!」の巻

オマンタせしました!


…上の三波春夫センセのド鉄板ギャグを冠したご自身のミニ・アルバムを、忘れもしないいつだかの愚記事にチョロッと挿し込んだのが幸いして、そのモノづばり「検索:オマンタせしました」からのお客様をお迎えしました。
だけどこの愚ブログではそれを飽くまで小ネタとして、ふざけ半分で扱っただけだったからお客様をガッカリさせてしまったと思うんです。
でもぼく、持ってるんですよ一応、現物。



電気グルーヴオールナイトニッポンを担当していた頃、フリー・トークで「三波春夫センセとヂョイント・ライヴを行って、多数の報道陣が取材に詰め掛けた」と云っていたのを耳にして「ワオ! 電気がカラんでるってか!? これは聴かざぁなるまいて!」と息まき、スワ!とばかりにお店へ走ったモノです(ライヴで共演したってだけで、アルバムに電気は関わってなかったけど。あとそのトークのオチは『あんなにTVクルーが来て、ワイドショーでは瀧のアゴが見切れただけ』)。


そんな訳で(・∀・)
先のお客様へのお詫びの意味も兼ね、本日の愚記事では「オマンタせしました! HARUO IN DANCE BEAT」をレヴュー致します! 皆様お付き合いの程をよろしくお願い申し上げます m(_ _)m ※1992年発表のシーデーを語る2011年のブログ。
てかそのお客様が次にいらして下さる保証は無いけどねっ(>ω<) それどころか再び「オマンタ〜」で検索なすって、ウチが引っ掛かった瞬間に「またコイツか!」と唾棄されること請け合い★ あゝ唾を吐きかけて…ねぇ顔にかけて…(*´ω`*) ムフフ。
それぢゃあ行ってみ酔う!(非番前夜にナニひとつ気兼ね無くカッ喰らうお酒の何と美味なる事よ! ムフフのフ。あ、忘れてたけどお客様アロハ。足のよろしくないぼくはスタビライザー生活を余儀なくされているんですが、そのヒザを今日したゝか打ち据えた柾木大造です。


 大〜当た〜りぃ〜!


寸分の狂いも無くド真ん中を射ヌカれました^^ ちなみに今回の記事タイトル『真心〜』は実写版『浮浪雲』に由来しております。後、いま気づいたけど俺カッコを閉じてなかった)


1.HOUSEおまんた囃子/作詞、曲:三波春夫
この愚ブログの最たる顧客層、Berryz工房を愛する同志の皆様に向けて云えば「スッペシャルOP」的ファンファーレのツカミ(←ギャグか)からアルバムの火蓋が切って落とされますが、忌憚なく申し上げればそこは余計だったかなと。だってシーデーを再生するや否や、「オマンタァーッ!」と云う春夫の咆哮から始まった方が衝撃的だったと思うんですけどね^^;
かつて電気は「シンセサイザーは他の楽器の音を出す為の代用品ではなく、シンセにしか出せない音を作る武器」と云ったのを聞いて以来、テクノに類するヂャンルはかくあるべし!と云う考えになったぼくには、このお唄のバック・トラックのギターやスラップなベースは不要に響きます。他には「♪ぁそれそれ」等の合いの手にエフェクツを掛けていれば面白かったなぁとも思いますが、全体的にはダークでかっちょえーし、分けてもBメロのスリゝングな展開からサビへの畳み掛け、そして春夫のノリノリな「陽気に踊ろよぅ!」には問答無用でシビれます!^^
でも約6分ってのはさすがに冗長かな。ぼくはプログレも、大好物です!>川*^∇^)||だから10分とかの曲も慣れっこだけど、それ等は省くモノがナニも無い上での10分間なんです。このお唄に関しては削れる所は削れたかと存じます、それこそツカミ(←だからギャグか)とか。


2.HOUSE五輪音頭(東京五輪音頭)/作詞:宮田隆、作曲:古賀政男
このお唄については後述いたします。構成の都合と申しますか、俗に云う「我田淫水」ですね。


3.俵星玄蕃(B.S.T Lap Mix)/作詞:北村桃児(三波春夫)、作曲:長津義司
ファンキーかつ凶悪なベースに始まるこのお唄では、当時70才になんなんとし、まして芸歴50年超を誇る春夫が何とLapに挑戦!(Rapぢゃないよ)。そして見事に自分のモノとせしめておられます(^^) 後世の、手をワシャワシャ動かしながらマイクのお尻を上げてダミ声でガナればヒップホップ!みたいなナメた似非ラッパーに春夫の爪の垢を煎じず飲ませてヤリ鯛っ!
この愚ブログの最たる顧客層、電気を愛する同志の皆様に向けて云えば、十二月の雪降る夜の漢の詩(おとこ−うた)の印象も手伝って「東京クリスマス」を彷彿させるサウンヅです。また初期スチャダラパーを想起させる「ダタタタダツター」(伝わるかなこれ)とシンプルでイカしたフィルインもあって、まさにこの時代の、ぼくがまだ好んでいた頃のRap(Lapぢゃないよ)の匂いにあふれていて、大変なつかしゅうございました。
恐らくドヤ顔で入れたであろう耳ざわりなコーラスを春夫は「イヤァーッ!」と一喝! バック・ボーンたる浪曲師としての本領を発揮し、格の違いを見せつけてくれます。♪総大ぃ〜将のぉ〜くらぁのぉ〜すけっ! 実に魅せつけてくれます^^
こちらは1曲目を凌ぐ6分09秒の大作ですが飽きを感じるヒマも無く展開し、アウトロは素っ気なくサクッと〆ます。Oh! ストイック!


4.佐渡おけさ(A Cappella Mix)/作者不詳、編曲:西司
文字通りのアカペラ、しかもシットリ系のそれで、ヴォイス・パーカッションもありません。ダンス・ビートよ、いづこへ。
この愚ブログの最たる顧客層、音楽的には雑食性に属する皆様を見習うべき、音楽的には悪食性に属するぼくでも、これにはちょっと喰いつけないなぁ。必然性にも面白味にも欠くと云うか。春夫の独唱の方がよかったんぢゃないかな。


5.チャンチキおけさ(Mysterious Mix)/作詞:門井八郎、作曲:長津義司
こちらではまづ、歌詞に触れようと存じます。1コーラス5行×3コーラス=15行と短いモノなので全て書き写そうかとも思ったのですが、「ふざけたつもりが出廷命令!」もしくは「自分の作詞を自分の著書に、載せたら訴訟で負け戦!」でおなぢみの大槻ケンヂさん状態(多少のモリ有り)に陥ってしまう事は明白なので、ぼくが汲み取ったストーリーをもって詞のご紹介に替えさせて頂きます。

希望を胸に抱いて故郷を後にしたモノの、来る日も来る日も屋台の安酒に逃げる毎日。名前も知らない他人の輪の中で、自分を取り繕う事に覚える虚無感。
ハタと母親が脳裏をよぎれど、健在かどうかを知りもしない。不意に生まれた罪悪感を掻き消す為にも、酒量は増すばかり。
酔う程にかつての恋人や夢が思い出され、涙で月も見えない…


かように、何とも哀しい、詰んだ詞世界です。
この愚ブログの最たる顧客層、人間椅子を愛する同志の皆様におかれましては、アルバム「踊る一寸法師」の「暗い日曜日」から「どだればち」の必殺コンボ(むぉうグァマンできぬぁい!←コンボ)が脳内再生されている事かとお察しします。
だのにこれ、非常にスペーシーなミデアム・チューンに仕上がっています^^;


6.HOUSE五輪音頭(Barcelona Mix)
4曲目の「佐渡おけさ」以外は全て“直角”さんが編曲なさっていて、冒頭でぼくが「後述いたします」と申しました2曲目「五輪音頭」の、これは直角さんによるセルフ・リミックスです。ブッちゃけてしまえば2曲目を後回しにしたのは大絶賛したいからなんですけど、こちらに関しては首をひねらざるを得ません。時を経てからご自身がリメイクやリミックスなさる、もしくは同じアルバムの同じ曲でも他者からのアプローチなら分かりますが、1枚のアルバムでひとりの編曲家さんが2パターンお作りになるのは、大袈裟な書き方だけど「1曲に懸ける姿勢を疑う」と申しますか。
至極オーソドックスなテクノで「バルセロナ・ミックス」ってのも(下半身に)ピンと来ないしなぁ。この愚ブログの最たる顧客層、スペイン人の皆様がこれを聴いてもキョトーンとなさるかと思います。
思いつきの超お下劣な駄洒落をグッと飲み込むオトナなぼく。
フラメンコっぽくする事も充分に可能だったんぢゃないかな、それが打ち込みであれ、てか打ち込みだからこそ。違う話かも知れませんが、ゴリゴリなヨーロピアン思考の日本人・橘高文彦くんはフライングVひとつで世界の音楽を奏でる訳で。


7.HOUSEおまんた囃子(Cosmic Mix)
こちらもまた1曲目のヴァージョン違いです。1曲目はダークながらダンス・ビートを謳えるテンポだったのに対し、こちらではBPMを半分に落としていて、踊るとしたら暗黒舞踊!と云うべき仕上がりになっています。
この愚ブログの最たる顧客層、メタルを愛する同志の皆様はスラッシュ派とドゥーム派に大別されると思いますが、ぼくはやっぱり後者です!v(>-<)v だけどこのアルバムに限った話で云えば、やっぱり1曲目の圧倒的勝利です。世間に評価を問う、本命とも云うべき表題曲が速い系の1曲目だったのに対し、遅い系も用意しておいて「俺こんな一面もあるんだぜ。本命には振られるかも知れないけど、こんな一面を持ってる俺に魅かれない?」的な嫌らしさが鼻に突いて、とても好きになれそうにありません。
あと5曲目の「チャンチキおけさ」の副題が「ミステリアス・ミックス」で、こちらの副題は「コヅミック・ミックス」となっていますが、取り違えたかの様な印象ですね。「〜おけさ」の宇宙的な感じこそ「コヅミック」、モノラルなラヂオのチューニングから入る不穏かつドゥーミーなこのお唄こそ「ミステリアス」だったかと。


8.世界の国からこんにちは(Easy Going Raggae)/作詞:島田陽子、作曲:中村八大
この愚ブログの最たる顧客層、筋肉少女帯を愛する同志の皆様にはおなぢみの「レゲエは?」(オーケン)、「大っ嫌い!」(橘高くん)と云う掛け合い漫才もあります通り、筋少を音楽の父と崇め奉るぼくもやはり、レゲエはちょっと苦手なんです。近所の小学生から「レゲエのおぢさん」と親しまれているぼくですけどね。そんなぼくが苦手な、これはレゲエそのモノです。テクノよ、いづこへ。
またバックには7名様の著名人が「“こんにちは”Chorus」として参加しておられますが、皆様ふつーに「こんにちは」っておっしゃってるだけです(^ω^;) そんな中にあって逸見政孝さんが孤軍奮闘! アノ(笑)歌唱法での「♪こーんにーちは〜」がサンプリングされて随所に美味しく使われ、八面六臂の大活躍を聴かせて下さいます^^


本来は上記のお唄でもってアルバムは終わるのですが、先ほど後回しに致しました2曲目「HOUSE五輪音頭」について、こゝで触れさせて頂きます。
断言いたします! 「五輪音頭」はこのアルバムの最高傑作…否、それにとゞまらづ、邦楽テクノ界の一大傑作です!(電気ぐらいしか知らないけど)
イントロでは三味線や尺八の音色がピック・アップされ、春夫の本分である和風な楽曲かと思いきや、4分打ちのバスドラと共に軽やかなシンセ・ベースが刻まれ、これが実に小気味いゝ!
そしてド派手なドラムの乱打!から、この愚ブログの最たる顧客層、古きよきデスコを愛する同志の皆様がお好きそうなピースフルなブラスが華々しく展開します。
楽曲の論評には往々にして「疾走感」と云う言葉が用いられますが、歌詞の内容やBPM関係なしにぼくは「空を飛んでいる感じ」を受ける事があるんです。
それは例えば筋少の「ツヤー・ファイナル」、Berryzの「この指とまれ!」、白黒オバQのOP、電気の「Let's Go! 無間地獄」(その曲名で?)だったりするんですが、このお唄にも同様に空を、それはもう自由にビュンビュン飛んでいる感じを覚えました。
途中「春夫で遊ぼう」的なご本人とサンプリング音源との戦いもあって、それがまたかっちょえーんです! スチャダラの「あんた誰?」での谷啓さんvsシンコのガチョーン!合戦が自然に思い起こされます^^
多幸感に満ち満ちたお唄は、このアルバムのツカミ(←だからよう)だったファンファーレへと帰結して行き、さながら「スッペシャルED」とも云うべき風情が感じられますが、気になるのは何故これを2曲目に配置したかと云う事です。
1曲目のド頭、そして2曲目のシンガリに同じファンファーレ…2曲だけで完結しちゃってんぢゃん!(^ω^;) あとはおまけ?
ツカミ(←…)を活かす為にもこのお唄をアルバムの最後に置けば、全編を通して拝聴した時の感動もひとしおだったと思うんですけどね。
「こう云う事だったのか!」っつってヒザを打ったと思うんですけどね、今日ぼくがヒザを打ちつけた様に。
歌詞の方は特筆すべき点の無いノベルテー・ソングでしたが、ヴォーカル・パートを歌い上げた後に語りが入り、春夫は高らかに宣言します。


「今こそ…今こそ、世界は心の時代である!」


…この一言で思わず滂沱の涙!
思い返せばこのアルバムが発表された1992年は、ロス暴動が勃発した年でした。
中学3年生だった当時のぼくの担任が「のちにこれは『先端1992=行く国アメリカの、げにも哀しきロス暴動』と覚えられるかもな」と云っていたので記憶しておりましたが、一方うろ覚えでは湾岸戦争が尾を引いていたかとも思います。
まさに「心」を欲していた時代だったけど、それから約20年の時を経た現在、世界は「心の時代」になっているのでしょうか? 恐らくは多くの方が首を横に振るかと存じます。
自身の安住の地で「心の時代」になったら佳いなあって独り言を云うだけだったらさびしいけれど、未知の領域だったテクノやラップの世界へ殴り込みを掛け、いとも簡単に制圧し、勝利の旗を誇らしく振りかざしながら「心の時代」にしようぜ!と声高に提唱・啓蒙する英雄が居た! 何てロックなんだ!


尚、上記のセリフはこのアルバムの歌詞カードには記載されていましたが、初出版には無かった様です。
1964年の東京オリンピックに寄せられたお唄が、かくも力強い金言と共に1992年に息を吹き返し、春夫ご自身は2001年に天命を全うされたけど、2011年の今もアルバムは生きている! 音楽は活きている! 「心の時代である!」と諭してくれる!


…そもそも春夫に類する検索語からのお客様がお越し下さらなかったらぼくは、このアルバムを聴き込む事、戯れにでも再生する事、はたまたラックから引っ張り出す事さえ無かったろうし、あるいは所有している事すら忘れていたかも知れません。
ブログをしていてよかった! そしてそのお客様、ありがとうございました! お蔭様で最良の夜を過ごしております^^
「お客様は神様です!」と云う春夫の至言の通り、一見様も含めた読者の皆様がぼくの神様な訳で、その神様方へうやうやしくも申し上げます。
音楽って、ほんとにいゝモノですね!


ちゃお(^-^)ノシ