第156話「ほんとっスかスカ(仮)」の巻

 


 たのしいなつやすみ
    5ねん8くみ まさきだいぞう


 ぼくは今年のなつやすみ、さがみこへ行って来た。ウソである。さがみこからかえって来たばかりの女の子と、おデートをして来た。これもウソである。ようするに、吉川友ちゃんのデーヴイデー・リゝースきねんイヴェントのため、あおやまへ行って来たのだ。
 「映画『きっかけはYOU!』」と「映画『きっかけはYOU!』ドキュメントDVD〜吉川友とその舞台裏〜」をかっていたからイヴェントおうぼけんを2まい持っていたぼくは、7/23、24(土、日)の2日かん×1日4回まわし=全8回おこなわれたイヴェントの内、23日の3、4回目のこうえん(?)にブッ込んだ。
 その日のあさ、うちを出て15分ほどあるいてから忘れモノにきづいて引き返したり、ちょっとのびたモヒカンをとこやさんでキレイにしてもらったり、ドイヒーな宿酔(ふつかよい)の迎え酒だ!とばかりにコンヴィニをみかけるたびにアルコールをつぎたしたり、風俗によったりしていたから、もよりえきへついたのは3回目のしゅうごうじかん15:30ギリギリ。ほどうのないこうさてんをも決死のかくごでツッ走り、「とない、ぼうしょ」とされていたしゅうごうばしょ   ユニバーサルミュージックさんへたどりついた。ぞんがいにデキ上がったじょうたいで。


 


 


 ケータイからみたインターネッツのBBSには、げんちぶたいから「オッサンばっかりだな」とのレスがよせられていたように、小学生はぼくひとりだった。だけどチラホラ女の子もいらして、いづれ劣らぬハイ・レヴェルだった。 ※むくつけきオス共との対比でそう見えた事も否定するまい。
 3、4回目をつうじ、友のイメージ・カラーであるイエローをお召しになっていた方は、のべ10名さまもおみうけしなかった。かくゆーぼくも、トップのおえかきどおりのくろいTシャツをきていた。それは友のデーヴイデーと共にユニバーサルさんでかったモノだから、この日それをおろしたのはあるしゅのおもねりとも云える。
 どうが「きっかチャンネル」や、えいが「〜YOU!」でもおなじみのユニバーサルさんのスロープを下って行った所で、イヴェントにおうぼした本人か否かのかくにんが行なわれた。チェックそれ自体はユル〜いモノだったけど、友のモバイルサイツさんに偽名でとうろくしていたぼくは、スタッフさんにワケをせつめいしなければならなかった。
 「はい、本名は『まさきだいぞう』なんですけど、そちらにとうろくさせてもらっているのはニックネームってゆーかハンドルネームってゆーか……あ! ちょっとめいぼをよろしいですか? これですこれ、『大ち』! ぼく『大ち』です!」(と、30親父がアルコール臭をプンプン拡散しながら)
 さて、このイヴェントの正式タイトルは「『きっかとなつやすみ!』〜アイドルとしてまいにち忙しい日々をすごすきっかがもらえた、たった1日だけのなつやすみ……さあ! 『なつ』をさがしに、きっかとおかしなたびに出よう!〜」と、むねがおどるような、いやにながったらしいモノだった。そしてその4回目のサブ・タイトルが「バーベキュー!〜トウモロコロシのぎゃくしゅう〜」と来た日には、(げんみつには友はちがうけど)ハロプロファンがおもいうかべるモノはひとつ。そう、飯田圭織さんのでんせつのバス・ツヤーにほかならない。


 


 だけどこのイヴェントは、何てことはない、たんなるトーク・ショー@かいぎしつだったのだ。
 かいさいがアナウンスされたとき以来、「一旦ユニバーサルさんにあつまってからどこぞへうつり、友をかこんで(おそらく粗末な)バーベキュー大会」……なぜそこまでユメをみられたモノだろうか、ロハのイヴェントに。アノころの自分のかたに手をおき、ぼくはゆいたいです
 「馬〜鹿」
 この回は60いくつのせきがもうけられていたんだけど、ぼくがひいたせきのばんごうは50ばん台のうしろの方で、じっさいのショバでかくにんしたざせきは1ばんうしろの左ハシ。まいどまいどのクジうんのなさに、おもわづクチビルをかみしめるばかりだった。えーかげんな奴じゃけぇほっといてくれんさい。
 クチビルをかみしめまくってぼくがドボドボ大流血している所に、今日のMCをつとめる「さわやか五郎」さんとゆー、とうてい20代とはおもわれない、そしてさわやかさの欠片もないヤクザがあらわれた。じぜんにスタッフさんから「ブーイングで迎えるように」とのおことづけがあったけど、なるへそ、じつにブーイングのしがいがあるキャラクターだった。
 そんなさわやかのよびこみをうけ、ついに友のお出ましとあいなる。
 (本来のいみの)さわやかな白のブラウス、こいオレンジいろのミニのキュロッツからのびるナマ足も目にまぶしい、アサガオ(3号)のハチをいだいたヒルイなき美少女……カノジョがそのすがたをあらわしたしゅんかん、ぼくののうないにはしぜんと人間椅子の「みわくのおじょうさま」がひゞきわたったモノだ。
 きゃくせきのドまん中をツッ切り、しかるべきショバへ向かうはづの友。だけどこの子はタゞものではない。くうせきをみつけるや、何とそこへちゃくせきしてしまったではないか。じょうがいらんとう中のプロレスラーか。おわらい系の。
 これはカノジョのサーヴィスせいしんのあらわれとゆーより、むしろ「ほんのう」に近いモノではないだろうか? それをおさえることはデキないってゆーか、おさえるつもりがサラサラないってゆーか。くうせきあらばすわる。ネタあらばダジャレをゆー。スイカあらばシャグシャグシャグッ!とカッくらう。
 今月17日にはつばい予定の、ファン垂涎のしゃしんしゅうとデーヴイデーについて、とおりいっぺんのセールス・トークをへて、かいぎしつのあかりがおとされた。えいが「YOU!」のいちぶと、さがみこでとりおろされた「きっかとなつやすみ」のVTRかんしょうかいである。「YOU!」にかんしては友もゆーことがあったのかなかったのか、ぼくがおぼえているのは、いつにもまして「ほんとっスか!?」をカノジョがれんぱつしたおしていたことだ。あと、がっきょく「きっかけはYOU!」のえいが用のふりつけ、その名も「ちょうぜつVer.」でのよこへのムーン・ウォークを、この日のあつぞこ、かつヒールのたかいサンダルでなんなくこなしてみせてくれたこと。やっぱりすごいよなぁ。
 さがみこでのVTRでは、友がスイカわりにちょうせんしていた。ガニマタでスイカをシバくサマは、じかくなきエロスにあふれている。また自ら目かくしをむすぶシーンにはナニげに淫靡な匂いがかほりたち、ぼくは鼻血ブーすんぜんにおいこまれた。1ばんうしろの、友の目に付かないせきでよかった〜と、むねをナデ回すばかりだった。
 そう云えば、1ばんうしろでよかったとおもわせてくれることが、もうひとつあった。このイヴェントのさいごはあくしゅ会で〆だったんだけど、友がファンをおみおくりしてくれるカタチのそれは、出口付近で行なわれたのだ。60何人中の50何ばん目のぼくのせきは、その出口の目とハナの先だったのである。そして友はぼくにせなかを向けて立っていた。ぼくよりまえの50何名さまがあくしゅをして行くあいだ中、わづか2mのしきんきょりで、友をバックからガッツリ視姦したモノである。ムフフ。えいがかんの巨大スクリーンでもおがんだとおり、ほどよくエロいおヒップだった。ムフフのフ。
 そうヤッて(友の立ちすがたにかぎらづ)あくしゅ会がしんこうして行くようすをながめていると、さすがに60何人もいると中にはおかしなひともいて、友ではなく、カノジョのかたわらにおかれたアサガオにあくしゅを求めるアンポンタンがいたのだってゆーか俺だそれは。
 ヒョンなおもいつきのワルふざけだったけど、舌をまくべきは友のリアクションの早さである。
 ぼくからみて、スタッフさん、友、アサガオとならんでいたから、いちど友をスルーするーカタチでアサガオに手をさし出し、「アロハ!」とぼくがいーおわらない内に、
 「ちがいまっス(自分は)こっちっス!」
 友はそう早口で、かつ、アサガオを目がけていたからカノジョに半みを向けていたぼくの右耳がイタくなるほどの大きなこえでツッコんでくれた。そして、ふてきにニヤリとわらいながら、
 「ギャグセン(ス)、たかいっスね」
 とまで云ってくれた。
 何にもない何にもないハガシも何にもなかったから、ひとによっては30びょう近く友とトークをなさるおきゃくさんもいらした。だけど、ツッコミをもらえてギャグがせいりつしたことにマンゾクしたぼくは、とりあえづ「ごめんね」とあやまったあと、あえてアッサリ「おつかれさま。つぎ(の回)もまた来るね」とだけ云った。
 「ほぉ〜んとっスか!? あざーっス!」
 お互い手をふりあったあと、オヤユビを上に立てゝする「グー」のポーヅを友がみせてくれたから、ぼくも同じ手でお返しし、一旦おわかれした。


 


 どうやら友とぼくは、りそう的なアブノーマル・カップルになれそうだ。
 4回目がスターツするまでのあいだ、コンヴィニでお酒やおつまみをかいこみ、ちょっとした独り酒宴をもよおしながらぼくはかんがえていた。友と会ったのは5/2のえいがかんと、さっきと、たったの2どだけ。次でも3ど目である。おぼえてもらえる日が来るのなんて、ガンダーラより余りにとおい。それでも今日なら……さっきのギャグでツメあとをのこせたであろう今日の内だけなら、「あ、さっきの(ヘンな奴)」ぐらいにはおもってくれるかも知れない……そんなあわいキボウと吐きけをむねに、ぼくはまたユニバーサルさんへ向かった。
 にゅうじょうはやはり、本人であるかくにんからはじまった。「またイチからせつめいするのもメンドいな〜」とおもいながら、「アノ、ぼく」とはなしかけるとスタッフさんは「あ、先ほどの」とおっしゃった。おそらく心の中では「(ヘンな奴)」と付け加えられていただろう。友よりもナニよりも、まづはこちらでおぼえてもらえたようだ。
 かいえんまえのかいぎしつには「YOU!」を中心に、まだまだ少ない友の持ちうたがエンドレスでながれていた。はたしてぼくはこのばで、ナニごともなければ9/21にはつばいされる友のさいしん曲「ハピラピ〜Sunrise〜」のぜんようを知ることとなった。とは云え、まだその1回しかきけていないからナニも云えないけど。Bメロにクセがあるのか、あるいはクセになるのか、今からまちどおしいかぎりである。尚、さいしょに「ハピラピ」ときいたときにはその曲名から小春の「はぴ☆はぴサンデー」や、ダークな所ではハイロウズの「ハッピー・ゴー・ラッキー」をおもいうかべ、はたまたサブ・タイトルの「サンライヅ」からはスタン・ハンセン先生のテーマ曲みたいな「きを付けて下さい! きを付けて下さい!」的なモノをぼくはそうぞうしていたけど、いづれもちょっとちがっていたようでもある。カスッてはいる(とくにハンセン)。
 おはなしはぜんごするが、4回目のこうえんで友は「ハッピーをラッピングする」と云ったしゅしのコトバと共にジェスチャーをみせていた。両手のゆび先をそろえ、かたのたかさでウデで円を作るサマは、鈴木愛理ちゃんがヤル「お麩」とゆーギャグそのモノだった。
 MCさわやかをブーイングで迎え入れ、友がよびこまれ、上っつべりなセールス・トークがあり、えいが「YOU!」のいちぶをかんしょうする所までは3回目と同じだった。とくひつすべきは、えいがの中で悪のプロデューサーをえんじた憎っくきmichitomoさんがサプライヅでいらしたことだろう。やはりファンからはヒーツをかっていたようで、この日も「生きていてすいません! 生きていてすいません!」と、ちんしゃ、ちんしゃ、またちんしゃ。佐川くんもビックリ。
 かくしてさがみこでのVTR、今回はバーベキューへん。お米をとぐときには「『米とぎのきっか』とよんで下さい!」、火をおこすときには「『火おこしのきっか』とよんで下さい!」……ちょっとド忘れしちゃったんだけど、ほかにもひとつふたつ「『××のきっか』とよんで下さい!」って云っていたおぼえがある。何なんだよこの女は。
 このVTRにかぎらづ、アップアップガールズ(仮)USTREAMばんぐみへ友がゲスツで出たときにもぼくはおもったんだけど、いきをするようにクチから出まかせを吐きたおすカノジョはさながら「吉川友スケサンタマリヤ」と云った所だろうか。
 アイドルがテキトーであれば、そのファンのぼくもまたテキトーである。以下はおぼえていることをテキトーに。


3回目
 ●「バンジー・ジャンプ」ってことばが出て来なくって、「とびおりジャンプ」とよぶ。
 ●小学生のころは、学校のきいろいぼうしを川へながしてあそんでいた。そんなにイナカなのか。イナカなーのか〜。
 ●しんネタ、「おでこをみがいておとをならす」をおひろめ。「キュッキュッ」と「ヒュッヒュッ」のあいだぐらいのおとを、クチでゆー。


4回目
 ●3回目より20せきほどふえて80せき出す(その内ぼくは40ばん台とゆー、何のおもしろみもないせき)。しかしまえから2、3れつ目にれんばんでのナゾのくうせきがはっせい。スタッフさんいわく「これでは吉川のキゲンがわるくなるので」と、そこをうめるためにえらばれた何名さまかの中のひとりの女の子が大よろこびでジャンプしたしゅんかんスカーツがめくれ……
 ●もうエンディングのおはなしになるけど、今回も友はアサガオを持ち込んでいて、かえりしなにはそれをかんきゃくせきにさし出してさわらせてくれる大サーヴィス。ロックのライヴで、かんきゃくせきへギターのネックをつき出すギタリスツのようではないか。だがカノジョは、またしてもガニマタであった。


 そうして友にとってのながい1日のおわりを告げる、当日さいごのあくしゅ会へとうつる。さすがに80何人もいると中にはおかしなひともいて、さっきはアサガオにあくしゅを求めるオタンチンがいたが、それは俺だが、同じマネを今回はスタッフさんにしているステレンキョーがいたのだってゆーか俺だそれも。
 やはりシャッポをぬぐべきは、友のトンチの利きっぷりである。
 今回も、スタッフさん、友、アサガオのじゅんでならんでいて、友の所に来たぼくがカラダをひるがえしてスタッフさんに「アロハ!」といーおわらない内に、
 「(自分が)しゅやくっス!」
 友に半みを向けていたぼくの左耳とスタッフさんの右耳から血が噴き出さんばかりの大きなこえで、カノジョはそうツッコんでくれた。
 ぼくみたいなものへも、さっきの回でメンエキはデキただろう。同じギャグをされたら同じセリフで、「ちがいます、自分はこっちです」とツッコめばおわる。何ならあいてにしなきゃいー。ツッコミが2パターンあるだけで、カノジョはボキャブラリーがゆたかだなんて云わない。だが、地のアタマがいーことは分かった(どうじに、いーいみでバカだともおもうけど)。まして、わづか3文字アロハとひとがいー切るより早く、いっしゅんで友がチョイーッスしてのけたコトバ、「自分がしゅやくです」……そうそう出て来るセリフではない。デビュー3ヶ月目とは云え、そこにはソロかしゅとしてのたしかなプライヅもかいまみえ、この19才の少女がたのもしくすらおもえた。
 カノジョをねぎらうべきだ。そうおもったぼくは、やっぱりまづ「ごめんね」とあやまる所からはじまって、「今日は1日おつかれさま! 友ちゃん(リヤルではよびすてデキない屁たれである)このなつ大いそがしだとおもうけど、ムリしないでね」と伝えた。
 そのときのカノジョのかおは   目を三日月のカタチにして、クチをむすんだまんま、その両ハシがグイッと上がったえがおは、どんな公式しゃしんよりもかわいかった。
 そしてまたお互いに手をふりあい、まえの回では友がぼくにオヤユビを上に立てゝする「グー」のポーヅをみせてくれたように、


 


 


 今回はぼくから友にナカユビを、ちがう、ヒトサシユビとコユビを立てるポーヅをみせた。これはスタン・ハンセン先生のテキサスロングホーンであると共に、メロイック・サイン(悪魔崇拝主義の証)でもある。さすがは友、ぼくがその手を出したのとほとんどどうじに同じ手で応えてくれた。どうやら友とぼくは、りそう的な悪魔主義カップルになれそうだ。


 


 えいが「YOU!」をかんしょうしたさいのブログきじタイトルを、ぼくは上のとおり名づけたけど、(仮)タイトルのだんかいでは「アイドル地獄変」の巻、だった。えいがのキャッチ・コピーは「1人の女の子が、1人のアーティストになる!」だったが、ほんぺんをみおわったあと「ひとりの女の子が、ひとつのうりモノにされてしまう」と云ったイヤなかんじをぼくはうけたからだ。
 この日のイヴェントにせよタイトルこそ「きっかとなつやすみ!」だったモノの、それさえおしごとのいっかん。1、2回目のおきゃくさんの入りは分からないけど、3、4回目だけでもおーよそ60+80人だから……えーっと、とにかくワンサカいた、ひとが。そのひとりひとりとみじかくないトークをし、アタマのおかしいオッサン(俺)のメンドくさいギャグにも付き合ってあげねばならないなど、けっきょくはなつやすみも屁ったくれもあったモノではないではないか。
 でも、友がたのしそうにしてくれていたから、いーか。
 そりゃあホンネなんか分からないけど、VTRの中でも、ぼくたちの目の前でも、友はたのしそうにしてみせてくれていたから、いーか。
 ぼくの本来のなつやすみは6月の内におわってしまったし、ちょくぜんでヘントウセンをはらしてしまったから、そのあいだ中クスリ漬けで台なしにしてしまった。もうまとまったお休みはないし、(仮)にもらえたとしても、友と会いに行くまえによった風俗でボッタクラレたから、ハデなあそびはひかえようとおもっている。手だけで¥37,000て。
 だけど、友とすごしたたった1日だけのなつやすみ、それはとてもたのしい、かけがえのない1日になった。
 この所あつさはちょっとおちついているけど、なつほんばんはこれからだ。友にかぎらづ、クラスのみんなもムリをせづ、カラダにきを付けて下さい。ぼくも、友とのかんけいがド本命の桃子にバレないようにきを付けよう。おしまい(^-^)ノシ